Basic Body Awareness Therapy

 メンタルヘルス関連疾患の身体症状は多岐にわたりますが、それらの病態の背景には、アウェアネス、自己意識などを生み出す神経基盤や運動制御処理の過程における何らかの不全状態が関係しているとの報告があります。メンタルヘルス関連疾患を起因とする身体症状は、身体活動性の低下につながり、バランス や姿勢制御の悪化をはじめとする運動機能不全を引き起こす原因となります。また、メンタルヘルス関連疾 患の徴候である妄想や不安、恐怖などは、身体の緊張を高め、姿勢の悪化、呼吸困難感や換気困難、睡眠不全、身体各部位および全身の慢性疲労および疼痛、異常感覚などを来たし、動きの質を低下させる身体症状として現れることがあります。このように、精神疾患を含むメンタルヘルス関連疾患は精神症状だけではなく、身体症状も呈します。しかし、日本の精神医療における身体医学的対応は「併存した身体疾患」を中心としており、メンタルヘルス領域の理学療法を含めた身体的治療アプローチが十分に浸透していません。

 Basic Body Awareness Therapy(BBAT)は、生活の基盤である身体への気づきを高め、動きの質を促して機能的動きを上げ、身体症状と共に精神症状の改善に寄与するための治療プログラムとして開発されました。また、統合失調症者をはじめとする精神疾患者の主体的な生活への変容を目指すメンタルヘルス領域で運動を主体とするリハビリテーションとして実施されています。ヨーロッパでは、BBATが精神疾患者の治療として幅広く実践されており、これから地域医療への移行を目指す日本の精神医療にとって、BBATが対象者の生活の基盤となる身体への関わりに有効な方法論として普及することを期待します。

Body Awareness Rating Scale

 Body Awareness Rating Scale(BARS)は臥位、座位、立位、リレーショナル、歩行など12種類の動きから構成されており、動きの質を評価するために開発された唯一の尺度です。セラピストは患者の動きを統合的に観察し、各動きの質を1点(Dysfunctional)から7点(Very good functioanl)で評価します。動きの質の現象は、動的バランス、楽なブリーシンング(息)、身体へのメンタルコンタクトが人の動きの トータルコーディネーション(全体的協調性)においてどのように統合されているかMovement Quality Model を通して説明されています(下図)。静的なバランス、楽なブリーシンング(息)、メンタル アウェアネスの3つが統合されかつ観察されるための主要なelementであり、動きの質の前提条件として、これらのエレメントは動きを始める前に必要となります。

 BARSは対象者の動きを3つのエレメントに加えて、統合された全体の動きも同時に観察する必要があります。また、それぞれの動きはセラピストによる適切なガイドが必要とされるため、BARSでの評価を行うには一定のトレーニングを受ける必要があります。

Basic Body Awareness Methodology

 ​Basic Body Awareness Methodology(BBAM)は、BBAT/BARSを学ぶための教育プログラムです。BBAMは2001年よりBergen University College(現:Western Norway University of Applied Sciences)にて行われた世界で唯一の英語でBBATを学ぶことのできる大学院教育プログラムです。BBAMには世界各国から理学療法士が集まり、これまで約100名の認定BBATセラピストを輩出しました。

 山本大誠は2009年にBergen University Collegeに入学し、2011年にアジア人初の認定BBATセラピストとなりました。卒業後は、客員研究員としてBBAMの講師となり、BBAMでの指導に務めました。2015年より、日本でのBBATセラピストの普及を目的にBBAM-Japanを設立し、精神科病院に勤務するセラピストを中心にBBATの教育に従事しています。

 

 BBAM-Jpanは日本でのBBATセラピストを育成します。メンタルヘルス、精神疾患、動きの質に興味のある方であれば、どなたも歓迎いたします。参加される方は、こちらのフォームより『BBAM-Japan』にお申し込みください。

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 Yama-lab.は「BBAM-Japan」、「臨床精神科リハビリテーション研究会」、「メンタルヘルスと運動 サイバー研究室」を立ち上げており、精神疾患と運動との関連性について研究を行っています。研究報告や研究会に関する連絡は、各々のページに記載しております。興味のある方は、ぜひご参照ください。

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